葛飾の柴又街道に面する江戸時代から続くお寺です。
限られた敷地のため、上階に庫裏をのせた2階建ての本堂です。
檀家が少なくなっている現代の課題として、建て替えコストが課題のひとつでした。
コストを抑える方法として、シンプルな建物にすること、永年に渡り使われ続ける建築物としての強固な構造体でありながら、合理性を出せるものにすることを考えました。
構造部分の工夫として、2階に庫裏を乗せながら3間×3間の外陣空間を支える構造体を150角の細材を4重の格子状に組み上げる工法で強固なものにしています。
この格子状の構造を表すことで、空間に深みを与えています。
また、外陣から庭に続く外部に3mの跳ね出し庇を設け、庭を室内的空間に仕立てました。この庇も細材をトラス状に組み実現しています。
庇の軒天は、白の反射仕上げとし、外の緑や下を通る人の動きを映し出し幻想的な広がりを創り出しました。
このお寺は、美術展覧会も開ける空間として、色々な活動の場になるようにも創りあげてあります。普段のお寺のお務め、法事、そして文化活動の場として若者にも愛される生き生きとした空間としました。
2階の庫裏は、下町の密集地でありながら庭の緑と空に解放した自然を味わえる空間になっています。
高断熱化を施すことで、冬には日照の暖かさと生活熱を十分に生かして暖かく、夏には、輻射熱を入れないことで自然の風で過ごせる、パッシブデザインの省エネで気持ちの良い住空間に仕立てました。